
12月12日に、SOTOKOTO LOHAS KITCHEN & BAR にて、ソトコト・サービスグラントのオリエンテーションが開催された。サービスグラントとは「金銭的支援を行うかわりに、知恵やアイデア、プロフェッショナルスキルを提供することでNPOを応援する新しい手法」だ。このイベントの背景はこちらのエントリーに詳しいが、今回のソトコトサービスグラントは、コミュニケーションツールのデザインに特化したサービスグラントであり、NPOのソーシャルなコンテンツを広く効果的に伝えていくための、クリエーターとNPOとの新しい関係を目指したものである。
丸ビル地下、柔らかい光が包む優しい空間には、デザイナーやコピーライター、学生などなど、40名を超えるソーシャルな人々が集まって、資料が足りなくなるほどの大盛況。僕の周りでも、ノルソルの岡崎さん、イシヅカさんをはじめ、ヒロくん、デザイナーのナカノくん、カドクラさん、ケイコちゃんとか、自然に反応して駆けつけてくれた。イベントが終わったあともそこかしこで素敵な縁が自然発生的にうまれていて、ソーシャルクリエーターのマッチングの場づくりの意味でも、サービスグラントの有意義性を感じた。連帯感の気持ちよさがそこには漂っていた。
さて、サービスグラントのオリエンテーションに話を戻すと、まずは成功例としてのサンフランシスコのタップルートファンデーションが紹介される。そのモデルは、企業や財団がタップルートにまとまった金額を助成金として寄付し、クリエーターはあくまでボランティアで(つまり無償で)プロフェッショナルスキルを提供する。そのため一週間の作業時間はミーティング時間を除いても最大5時間程度、チームのメンバーは、4~6名程度、プロジェクトの期間は半年のペースで進められる。タップルートでは、作業単価を1時間100ドルで計算しているようで、その試算によるとサービスグラント1件につき、15000ドル~50000ドル相当のサービスが提供されるということになる。このコミュニケーションツールへのサービスの助成によって、寄付の増加など資金調達力が高まり、また、NPO側にも間接的にデザインやマーケティングを意識するいいきっかけとなったようだ。
嵯峨さんも強調していたとおり、寄付の感覚など、アメリカと日本とでは事情が異なるため、このモデルがそのまま転用できるほど容易ではない。そのため、今回のソトコトサービスグラントでは、助成金の捻出は当面の課題として、まずはプロフェッショナルスキルをNPOに提供するケーススタディを構築することに目的の比重が置かれていると思われる。そして、そのオリジナリティとしての目玉のひとつが、1時間当たり1000rという稼働時間に応じた地域通過アースデイマネーの進呈だ。
この地域通過は、渋谷のカフェを中心に現金と併用して使用することができる。渋谷のplanet 3rdでは全額使用でき、他にもエコツアーやアースデイマネーのフライヤーへの広告掲載などでまとめて使うことができる(使い途の詳細はこちら)。また、たとえば、カメラマンとデザイナーで、素材のやり取りを地域通過で決済するなど、クリエーター同士のrの循環も考えられる。これは、サービスグラントをプラットフォームにした地域通過の実践の場でもあるのだ。
さて、肝心のサービスグラントの助成先は、今回はアースデイマネーとソトコト側で決定するということだが、これは今後も議論がなされるべきだろう。それは、クリエーターのモチベーションの源泉が、サービスグラントへというよりは、各クリエーターのある特定のNPOの活動へと次第にシフトすることが予想されるからだ。タップルートのモデルでは、年間で約400件NPOの申請があり、そのうち約80件(約20%)のサービスグラントを提供していて、それらはタップルート側がスタッフィングするそうだが、もっと持ち寄りの、自然発生的な余地とのバランスも、考慮に入れる必要がある。
とにかく、サービスグラントについては、誰も体験していない。僕は今まで、個人的な興味からアカウントをとって、アースデイマネーやMERRY PROJECT、今制作中のBeGood Cafeなどのウェブサイト構築にコミットしてきたが、普段の仕事とのプライオリティのバランス、責任の明確な所在など、問題点を感じる機会が少なくない。だからこそ、サービスグラント「的」プロジェクトマネジメントには、大きな期待感を感じている。そして地域通過やソーシャルなオープンソース的コミュニティとの相性の検証もしてみたい。まずは、「論より証拠」と実践すること、この態度を示してくれた嵯峨さん、それを実際にサポートしてくれた雑誌ソトコトに、盛大な拍手を。
最後に、今回のプロジェクトは、「ソトコト」サービスグラントと、ソトコトの冠がついている。この意味を有効に活用すべきかもしれない。ソトコト誌上でプロジェクトの進捗状況を逐一レポートするということで、それは直接的ないい励みになるだろうし、ネットワークづくりや面白い機会の提供など間接的にもクリエーターのためのメリットを、ちょっとだけプロデュースしてくと、しっかりと根付いていくんじゃないかなと思ってます。拠点はLOHAS KITCHEN & BARにおかれるみたいだけど、ワイン呑み放題とか、笑、せめて地域通過が使えるとか、そんなシンプルなところでもいい仕掛けになるかもしれない。
そして、あとはクリエーターの思い次第です。アウトプットに宿るソーシャルなインパクトは、クリエーター自身がいかに自分のために、この風を利用するかにかかってくるでしょう。来年の今頃はどんな成果が生まれているのか、「これからの世界のシステム」をつくっていく現場のプロセスを、追っていこうと思います。
Posted by YOSH | TrackBack