
「人生一度は万博だ。」にのせられて、朝一番の「のぞみ1号」で初・万博へ。目的は瀬戸会場、市民パビリオンで開催される地域通貨サミット。アースデイマネーがホストを務めるそのイベントは、岩手のわらび通貨から、高田馬場のアトム通貨、韓国テジョン市のハンパッLETSなど10を超える地域通貨のプレゼンテーションや、LETSの創始者マイケル・リントンさんの講演やパネルディスカッションなどが予定され、意外と情報の乏しい地域通貨の「今」を整理する上で重要な一日である。(公式レポートはコチラ)
名古屋駅で「のぞみ一号」を駆け降り、万博八草行きのエキスポシャトルに奇跡的接続。それほど社内は混み合わず、ゆっくりと40分の転寝。ごった返す改札を超えると、リニモへの壮絶な混雑が目に入る。この日は今まで出一番の大入りだったようだ。バスで10分で到着、長久手~瀬戸をつなぐモリゾーゴンドラはトラブルで運転中止ながらも、圧倒的不利な瀬戸会場にも行列ができていた。

行列を横目に、スタッフパスで入場。会場前の閑散とした瀬戸会場の木の橋を渡ると、右手には黒川紀章/日比野克彦によるコンクリートのモニュメント「天水皿」が空と交信するように佇んでいた。近づく円形コロッセオのような「市民パビリオン」を見やり、何ともいえない万博的な違和感を味わいながら会場の対話劇場に到着。

前日から入っていたスタッフと合流し、ゲストの誘導や受付の準備を手伝う。「ズバリ、あなたにとって、お金って何ですか?」という究極の問いかけを巡るアンケートにご協力いただくと、好きな地域通貨がもらえたりする。果たしてどれくらいの人が、足を止めてくれるのだろう。

午前10時、アースデイマネー理事、嵯峨さんの開会宣言でいよいよサミット開幕!第一部は「まもる、はぐくむ身近な環境~地域資源を生かし、地域を元気にするお金」と題して、その地域の特色をうまく地域通貨システムに融合した事例が紹介される。コメンテーターとして表参道のオシャレなゴミ拾い集団(そしてイケメン&イケニョ率高しと専らうわさの) greenbird の代表であり、現役渋谷区議会議員である長谷部健さんが爽やかに登壇。

最初は三重銀行と提携し、「Jマネー定期」という金融商品を発売している、三重県四日市の「Jマネー」。主婦や料理を学ぶ学生などが一日料理長を務めるワンデイシェフ型コミュニティレストランがネット中継で紹介された。また、岩手県西和賀では、雪かきや古道の整備などを手伝うと、その名も「わらび」という「わらび本位制」地域通貨をゲットできる。そして、アースデイマネーのハッタさん率いるトージバは、「種大豆本位制」だ。他にも、静岡県伊東の「温銭」、流域通貨という広がりを見せる山口県椹野川流域の「フシノ」、クリエイターがイニシアチヴをとる和歌山市の「ちゃら」などが紹介され、長谷部さんが「地域通貨は知恵が勝負!」と指摘したとおり、まさに地域の通貨をメディアに、豊かなローカリティを感じることが出来た。

東大大学院教授、丸山真人さんのビデオメッセージの合間に、急ピッチでランチ。団体客のおばちゃんたちやら市民パビリオンに出演した方々やら舞台裏は、入り乱れたカオティックな和気藹々。午後からの第ニ部のテーマは「地域通貨で気持ちを交流~人と人の架け橋になるお金」。海を越えて韓国テジョン市から地域通貨がコミュニティを育て上げた「ハンパッLETS」の羨むほどの成功例や、高田馬場の手塚プロ公認の鉄腕「アトム通貨」(紙幣がそそる!)、「しあわせ」のたまっていく様子がわかる「しあわせ交換券ハピー」、「お願いね」と「できますよ」をつなぐ「千姫プロジェクト」などが紹介される。そこには、法定通貨にはできない、温かくてオルタナティブなお金の流れがあり、コミュニティのコミュニケーションを地域通貨が支えていた。

全国の様々な取り組みが紹介が終わり、いよいよアースデイマネーの理論的支柱でもあるマイケル・リントンさんが登場!第三部は「地域通貨プラットフォームの未来像」と題したパネルディスカッション。「Eメールを想像して欲しい。それはほんの10年前までは身近でなかったもの。われわれは近いうちに、Eメールアドレスを持つようにマネーアドレスを持ち、メーリングリストをつくるように、地域通貨をつくるだろう。」と確実な未来を描いた。それを可能にするのがQ-PROJECTやCCSP.JPなどのオンライン地域通貨システム。ルームメイツで、サークル内で、普通にオルタナティブ通貨が流通する日もそう遠くない?

その頃受付では、通りがかりの子供たちからお年寄りまで、賑わいを見せていた。アンケート用紙が所狭しと張り出されたボードはとてもカラフルで、内容も非常にユニーク。それでも「お金とは、生きていくために大切なもの」という意見が圧倒的だったのは、考えさせられた。「世の中がよくなるような、お金の稼ぎ方も重要だなぁと思います。」

地域通貨どっぷりの亦とない一日は、いよいよ第四部「国民運動と地域通貨」へ。マイケル・リントンさん、北大の西部教授、あの頃の『広告』の編集長であり打ち水大作戦を指揮する池田さん、エコマネー加藤さんなど、地域通貨のキーパーソンが勢ぞろい。

締めくくりは、嵯峨さんから「各自クリエイティブに奮闘することをここに宣言します。」と「Change Your Money 宣言」が高らかと。毎年5/28を、お金について考え、実践するようにしようと呼びかけて、人々が手とり、つなぎながら地域通貨サミット@万博は無事に幕をおろした。
控え室では各地のスピーカーが集い、コラボレーティブな話に及んでいる。こうやって点々としていた地域通貨が一同に集まって面をなしたこと、この意義はとてつもなく大きいだろう。もはやコミュニティ・カレンシー=「地域」の通貨という語義的な矛盾を超えた、オルタナティブ通貨を介した国民運動という、次のステップへと差し掛かっている。それほど、今日の一連のプレセンテーションには、今までに無い成果が着実に生まれてきている気がした。
とはいえ第四部での「地域通貨はオタクがやっているような、あまり関係の無い人には広がっていないのではないか。」という客観的な現状認識は、あながち間違っていないだろう。また、地域通貨論争でしばしば起こりがちな考え方の違いは、ここでもやはり少なからず露呈した。それでもリントンさんが「日本人は考えすぎる。時間が無い。ただ実践あるのみ。」とぶった斬ったこの瞬間から、晴れて次の局面へと進んでゆけるのではないだろうか。「お金を変える日宣言」はきっかけにすぎない、ただ実践あるのみなのだ。
Posted by YOSH | TrackBack