_ Shop with Stories
Toiles.rui: materials for the unseen-story

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トワル.rui


まだ見ぬ物語のための資材屋

「世界」がもしも「地球」と同義語でなく、人々の想像力を指すのだとしたら、この星にはどれほどの世界が存在するんだろう。「また、新しい世界に来た。」『トワル.rui』の扉を開けた瞬間、そう思った。

『トワル.rui』の話をするのには、まずこの店が入っているビルの説明から始めなければならない。

秋田駅から徒歩10分ほど。人気のないかつての歓楽街・川反の中ほどにひっそりと立つそのビルの名は「川反ビル」。1階は、笹尾千草さんが運営する『coco laboratory(ココラボラトリー)』というギャラリースペース。ここは日々県内外からのアーティストの展示が行われる、秋田では数少ないアートの発信地である。2階には石田珈琲喫茶室。そして3階には笹尾さんの企画室、書籍販売店『まど枠』、『トワル.rui』が入っている。


『トワル.rui』は簡単に言うと、服飾アトリエ兼ショップ。オーナーである高木瑠衣さんとそのパートナー・由郎さんがヨーロッパ、インドなど世界各国へ買い付けに出て探した生地、リボン、ボタンなどの服飾素材や、様々なアーティストの作品が置かれている。店内には作業テーブルやミシンも置かれ、工房とショップ両方の役割を兼ねている。店内を一歩入ると、秋田や日本や、そんな枠組みを飛び越えて、『トワル.rui』の世界としか表現しようがない場所に誘われる。


rui_02.jpgオーナーの高木瑠衣さん
秋田という新しい地

「なぜ秋田だったんですか?」そんな質問をぶつけてみると、「大きな流れのようなものだったとしか表現しようがないんですが…」と、説明してくれた。

今から3年半前、瑠衣さんは東京にいた。あるフェスティバルの中、大工さんの友達が作る山小屋で、由朗さんは料理、瑠衣さんは洋服を売っていた。そのとき2人の中にビリビリと同じイメージが走ったという。「これだー!と同時に思ったのが分かりました。」

そのイメージを共有したまま、二人は東京から、由郎さんのお父さんのご実家がある秋田に「移住」してきた。秋田には住んだことのない二人。一からのスタートだった。

自分たちにとって真っ白な土地だからこそ、空想図はどんどん膨らんだ。「人間が生きるうえで必要な『衣・食・住』に関わる空間を作りたい。」二人は強い気持ちで、着実に思いを形にしてきた。由朗さんは『青い鳥のレストラン』(*)をオープン、そして瑠衣さんは『トワル.rui』をオープンした。

「秋田だからできたことが本当にたくさんあります。」街のつくり、人のつながりも、東京に比べてシンプルだからこそ可能になったことがたくさんある、とお二人は力説する。


トワルとは「未完であるということ」

トワルというのは、洋服を作る際に、白い布で作る仮縫いの型の状態を指す。「未完」であること、完成されていく過程を見せる。それがこの店のコンセプト。


rui_04.jpg由郎さんが南欧の蚤の市で見つけてきたボタンたち
「ここは『資材屋』です」と由朗さんは言い切る。「ここが世界中の資材で溢れたらいい。そして訪れる人の心が躍る空間になればいいなと願っています。」

当初思い描いていた想像図と、実際のお店の動き方は、立地や状況によって微妙に変化してくる。秋田という土地柄もあり、お客さんの反応も様々だ。この土地に必要なもの、自分たちがやりたいこと、そのバランスを慎重に見て、お店を日々変化させている。お二人は直感にとても正直だけど、慎重な面も持ち合わせている。そのバランスが、『トワル.rui』に命を与えている。

作品とお店の関係

自身も服飾作家である瑠衣さんだが、『トワル.rui』は「瑠衣さんの作品を売るお店」ではない。自分の作品とお店との関係は、タイミングも含めて慎重に見極めている。瑠衣さんのバッグは、まばゆい宝石のようで、手を触れてはいけないように美しい。最近では東京のギャラリーに置いたりすることも多くなった。クラシックカフェで働いた経験や、音楽や映画から広がったイマジネーションなど、今までのイメージのコラージュが自分の作品になっているそう。

こんなに手が込んだ作品を売ってしまうのは、つらくないですか?と聞くと、きっぱりとこう答えてくれた。「この先のすべてをかけて、命をかけて作品を作っているので、作品が自分のもとを離れていくのは、逆に嬉しいんです。」いずれは舞台衣装を作りたいので、今は勉強期間です、と控えめに言う瑠衣さんからは、その強い意志が伝わってきた。


rui_06.jpg内装は全てお二人の手によるもの
ここ『トワル.rui』は演劇性の高い空間だとふと思った。空間や衣装を作り上げる世界中の資材が山積みになり、オーディオからはピアノが流れ、二人は軽やかに動き語る。二人がこの地に行き着いた道のりも、語る言葉も、よく練られた戯曲を聞いているように音楽的だ。

「人生は舞台」。そんなシェイクスピアの言葉を思い出した。由郎さんの素晴らしい料理も、瑠衣さんの美しい作品たちも、まだ誰も見たことのない、彼らの頭の中にある世界を作り上げる過程なのだという気がした。

あれ、「衣」は瑠衣さん、「食」は由郎さん。では「住」は?と聞くと、二人はワクワクした表情で答えてくれた。「近い将来、ゲストハウスを作りたいなと思っています。ココラボにいらしたアーティストの方が泊まれたりするように。猫足のバスタブとか置いて、すっごい素敵にするんです!」

Shop with Storiesというテーマの元、「物語のある商品を売る店」を探して取材をしてきた私たちだが、『トワル.rui』で出会えたのは、商品そのもの以上に、ショップディレクターである瑠衣さん、そしてこの店を語るに欠かせないパートナーの由郎さん自身の素敵な物語だった。(取材:2007年5月)


rui_03.jpgジュエリーのように美しい瑠衣さんの作品

rui_05.jpg店内に世界中の資材が美しく並ぶ

* =『青い鳥のレストラン』インタビューは後日アップ予定

English will be here soon!

Posted by SAWA | TrackBack , , ,






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