右も左も分からなかった僕にとって初めての、世界的なアーティストへのドキドキのメールインタビュー。それでも彼女は、落ち着いた、優しくウィットのあるレスポンスで緊張をほぐしてくれた。そして初めて会ったときも、そのままイメージどおりの柔らかな力強い彼女がいた。
エリート階級のつながりを視覚化「They Rule」
SFに市民農園を「Victory Gardens」それが最近では、サンフランシスコを舞台にガーデニングやファーミングなどますますローカルに動き回っている。都市と自然のあり方をジャンル横断的に探る「Free-Soil」やシリコンバレーの自然環境をケアする「Gardening Superfund Site」などが進行中。サンフランシスコに市民農園を増やそうとする「Victory Gardens」は、SFMoMAのアートアワードにも選ばれ、エイミーが手がける洒落たスターターキットや作業服などがピカソとともに美術館に展示された。
僕が気になっていたのはその転身の背景だ。どうしてローカルに興味を持つようになったのだろう。

「もともと実家が農家だったってのもあるけど、ノマド(遊牧民)的なライフスタイルから、次第に“ホーム”を意識するようになったの。それは場所に対する責任といえるかもしれない。
『自分のホームはここ!』と決めて、『どうなったらステキになるだろう?』と考えた。やっぱりハッピーで、ヘルシーで楽しい場所になってほしいわよね。その思いから、よりローカルなプロジェクトに取り組み始めたというわけ。」
「Victory Gardens」のスターターキット「ウェブは好きだし、大きな発明だと思うけど、人と人の距離を不自然に離したり、ヒューマンタッチという意味では決定的に足りない。でも、一緒に木を植えたりすると新たな絆が生まれる。
オフラインの魅力って予想がつかないことよね(笑)人間関係ってそういう驚きがいつもあるし、複雑だけど何かを共に作業し、それが育っていくという喜びを感じていたいの。」
アートは壁に掛かっているものだけじゃなく、人々をつなげるものだ。そのことをエイミーは、「『Art is a verb』(アートは動詞)」と優しく言った。「それは、わたしの恩師のコトバなのよ。」そして僕もきっと、誰かにそのコトバを伝えていくのだろう。
(初出:WebDesigning 2007年5月号)

