その多様性を根っこで支えているのが、生きものが様々に関係して成り立つ森の世界だ。広大なアマゾンは、言わずもがなの代表格だろう。
減少を続けるアマゾンの森林
その地球の誇る豊かな森々が、急速に減少しているというニュースを聞いたことがあるだろうか。ビックリするのはそのペースだ。東京都の約10倍以上という面積の森林が、毎年失われているという。
主な原因は農業用地の拡大で、ちょっと前だと先進国に輸出するための牛の飼育や大豆の生産、最近だと世界的に需要のあるバイオエタノール(石油に替わる再生可能なエネルギー)のための穀物栽培が、森を伐採して行われている。
森が失われるということは、そこに住んでいた動物たちもどこかに追われるということだ。目いっぱい消費したい僕たちの都合が、そのまま地球の裏側にツケが回ってくる。そんな時代に僕たちは生きている。
僕たちはまだ生きている!
STILL ALIVE~僕たちはまだ生きている。森林破壊の現状を伝え、そこに住む動物の多様性を守ろうというメッセージをこめたウェブサイトが、今年のカンヌ広告賞でブロンズを受賞した。
訪れたユーザは、同じ時間にそこにいる他のユーザとともに、クロスステッチでカラフルに布を刺繍していく。すると、立派な木を囲んで、コアリクイ、ジャガー、シシザル、コンゴウインコ、オオワシが徐々に現れてくる。それらはまさにブラジルの森に暮らし、いま個体数が減少しつつある動物たちだ。
このサイトは、ブラジルを代表する資源ビジネス企業CVRD社のCSR(企業の社会的責任)コンテンツだ。土地の多様性を守る持続可能な開発をモットーとし、荒廃した土地にたくさんの木を植林する活動に、積極的に取り組んでいる。「木を植えるということは、すべての自然に命を与えること」。STILL ALIVEでは、この彼らのビジョンを遊び心のある美しい表現で打ち出した。
人々のつながりを可視化する
インタラクティブデザインを担当した地元ブラジルのデザイナーGRINGOのアンドレは言う。
「“刺繍”というコンセプトがすべて。森を再生するというメッセージを送り、それを自然と友達に広めていくために、これ以上ないアイデアだったよ。このサイトの面白いところは、みんなと一緒に何かをつくり、誰かをナビゲートしたりしながら、人々がつながっていることを可視化できたことだと思う。」
はじめのファブリックは白だ。そして誰かの動きを見ながら手探りでステッチしていくと、コンゴウインコの鮮やかな赤、ジャガーの凛々しい姿、アリクイの大きな尻尾、動物たちの色や形が豊かに現れてくる。Flashも実に軽快に、みんなの願いを刺繍でつないで、インタラクティブに自然を元に戻していく。彼はここで、その前向きな経験をデザインしたのだ。
「ソーシャルイシューは遠くにあるプロジェクトではないんだ」
アンドレは続ける。
「デザイナーが他のプロフェッショナルよりも、責任が“多い”とか“少ない”とかはないんじゃないかな。ただ、多くのエージェンシーが年に数回は公共的な仕事をする機会があるから、そんな仕事をうまく使って積極的に世界を変える何かをつくっていくべきだと思うよ。デザイナーは、コンセプトを検証し、デモをつくることも仕事だから、そういう意味ではソーシャルイシューはそれほど遠くにあるプロジェクトではないんだ。」
(初出:WebDesigning 2007年9月号)

