INSIGHTS
【Dream and Image】

『夢の中の絵を描いてよ。』

カフェで突然小さな女の子がそういったとき、考えていたことがふっと文字になって浮かび上がってきた。夢とイメージ。そのことについてもうずいぶん、ぼんやりと考えていたからだ。「夜」をテーマにした地下の小さなギャラリーで働いていたとき、頭にはいつも「夢」というイメージがあった。

―ここは現実と夢の間にある場所。らせん階段を伝って、思考回路を下る。太陽はとっくに沈み、身体は睡眠に向かって準備している。シャープネスの効いた理性の輪郭がふっとぼやけ、眠りに近づくように頭がぼんやりしてくる、夜という不思議な時間。そのときに見た美しいイメージを、人は夢の中まで連れて行くのだろうか。
人は見た夢を、イメージを、どんな風に形を変えて作品にするのか。それを受け取る人たちは、他者のイメージの産物を、どのように自分のイメージと共鳴させ、融合させるのか。私が見たかったのは、その化学反応であり、有機的な結合、そして分離であり、その交わったところや交わらないところが織り成す色のようなものだった。

アーティストが、デザイナーが、何かを結晶を生み出そうとするとき、その根源はいったいどこなんだろう。その小さな青い炎をおこすのは、気づかず膨大に持っている、夢のかけら、イメージたちなのではないだろうか。『人は生れ落ちたときから、イメージのエンサイクロペディアを持っている』といったのはティルマンスだが、その彼もまた、自分の中の世界に対する「イメージ」を写真を通して言語にした偉大なアーティストの一人だ。

夢は記憶と想像力でできている。それから日々拾い集める小さなイメージの断片たち。誰も触ったことのない、夢という不思議な存在。思い出そうとするとするりと消えてしまうそれをつかもうと、そしてその中に横たわろうと、人は美しいものを追いかけているのではないか。人の創造力という世界の秘密にほんの少し触れたくて、様々なアーティストに「夢インタビュー」を行っていくことにした。


Posted by SAWA | TrackBack ,






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